>自然環境情報>緑の東京計画>概要
平成 12年 12月 26日
都 市 計 画 局
環 境 局
「緑の東京計画」の概要
「緑の東京計画」策定の考え方 1 目的 この計画は、21世紀の東京を、環境と共生し、持続的発展が可能な都市とするために、緑の面から捉 えた施策展開の道筋を総合的・体系的に示すものです。 2 内容 この計画は、東京都全域を対象に、おおむね50年後における東京の緑の望ましい将来像を見据えて、 平成13年度から平成27年度までの15年間に取組むべき緑づくりの目標と施策の方向などを明らかにする ものです。 3 性格 この計画は、東京の緑に関する総合計画として策定するもので、都、都民、企業、区市町村がそれぞ れの役割分担の中で、連携して実現していくものです。 4 この計画で示す「緑」とは この計画で示す「緑」とは、生物の生存基盤を支え、都民の生活環境を豊かにする、樹林地、草地、 農地、宅地内の緑(屋上緑化を含む)、公園、街路樹や、河川、水路、湖沼などを指します。 |
第1章 東京の緑の現状と課題
第1 東京の緑をとりまく状況
1 東京の緑の成り立ち
東京では、奥多摩の山地から、東京湾、小笠原諸島に至る地形の上に、農林業などにより人手が加
わった二次的自然や貴重な動植物が生息する森林などの多様な緑が育まれてきました。
2 減少する緑
平成10年までの約25年間で、都全体(島しょを除く)で、山手線の内側の面積を超える緑が農地や
樹林地を中心に失われました。
3 都民の緑への関心の高まり
家庭でのガーデニングや、公園などでの都民参加による緑づくり活動が増えています。都民の自主
的な緑づくりの活動は、これからの緑づくりを進める大きな推進力として期待されます。
第2 東京の緑づくりの課題
1 活かしきれていない緑の機能
これからの都市づくりでは、気象の緩和や防災上の機能など緑のもつ機能を最大限に活用し、都民
に安全で快適な生活環境を提供していく必要があります。
(1) 都市環境の改善
緑の少なくなった都市では、ヒートアイランド現象が発生しています。緑には、この現象を緩和
するだけでなく、地球温暖化を防止するとともに大気を浄化するなど環境改善の効用もあります。
(2) 防災
緑の機能を活かして、避難路や避難場所の安全性を高めていく必要があります。また、都市型水
害による被害の軽減のために、市街地の公園や農地などによる雨水の流出抑制が求められています。
(3) うるおい、やすらぎ、風格
上野公園などの公園や、小石川後楽園などの庭園を一層風格のあるものとしていくことが必要で
す。また、河川や臨海部では、うるおいのある水辺を整備していく必要があります。
(4) 生物の生存基盤
多くの生物の貴重な生息地となってきた、丘陵地の里山、水辺などが失われてきています。市街
地では昆虫を見かけることも少なくなっています。また、小笠原諸島などの島しょでは、貴重な生
物が絶滅の危機に瀕しています。こうした生物を将来の世代へ継承できるよう、生物種とその生存
基盤である生態系を保全していく必要があります。
以上の他に、東京の緑づくりを効果的に推進していくためには次のことも大きな課題です。
2 求められる緑づくりの仕組み
都民の緑に対する関心の高まりと取組に対して、今後、都は広域的な視点から都民の関心をさらに
高めていくとともに、都民が主役となって東京の緑づくりの活動が展開できる基盤を整えていく必要
があります。
第2章 この計画のめざすもの
第1 5つの視点からみた50年後における東京の緑の姿
21世紀における東京の緑づくりの方向を見定めるために、東京の緑づくりの課題に沿って、次の5つ
の視点からおおむね50年後における東京の緑の姿を描いてみました。
1 緑が守る「都市の環境」
2 緑が支える「防災都市」
3 緑が創る「東京の魅力」
4 緑が育む「生物の生存基盤」
5 「都民が主役」で築く緑
第2 東京の緑の将来像
第1で描かれた、おおむね50年後における東京の緑の望ましい姿は、緑の持つ機能が最大限に活用
された東京の姿です。こうした東京がめざす緑の将来像は、次のように示すことができます。
「水と緑がネットワークされた風格都市・東京」
(ネットワークの意義)
気象緩和、防災など緑のもつ機能をより効果的に発揮させるためには、緑の連続性を充実させることが
必要です。また、生物は緑のネットワークを通じてその生息区域を広げることができ、結果として多様な
生物の生息・生育環境が保障されます。
(風格都市とは)
都市の風格とは、自然や建築物、道路、公園などによって形づくられる都市空間が、そこで活動し、生
活する人との関わりの中で、時間の経過とともに積み重ねられて醸し出す、一体感のある品格をいいます。
人と都市との関わり合いの中で、人は都市に誇りを持ち、自分の街としての愛着を深めていくことができ
ます。このようにして築かれた関係によって、人は都市に風格を感じることができます。
都民が主役となって緑のネットワークを形成することにより、風格都市・東京が実現されます。
第3章 計画の目標と施策の方向
第1 計画の目標
おおむね50年後における東京の緑の将来像を見据え、平成13年度から平成27年度までの今後15年間に
取り組むべき緑づくりの目標を、政策の効果を反映することのできる政策指標「みどり率」を用いて設
定します。この政策指標は、身近な緑の施策を担う区市町村との連携を図りながら、都民の協力を得て
達成を目指していくものであり、都は、山地、丘陵地、河川、幹線道路などの広域的な骨格となる緑を
保全、創出していくことを基本として、自ら施策を実施するとともに、その達成に必要な仕組みづくり
や働きかけ・誘導策などを講じていきます。
区部 :約29%となっている現在のみどり率を、15年後には約32%へと、約1割増やしていきます。 多摩 :みどり率の低下を抑えて現状のみどり率約80%を維持していきます。 島しょ:豊かな自然環境を保全しながら、恵まれた観光資源として活かしていきます。 |
* みどり率:ある地域における、樹林地、草地、農地、宅地内の緑(屋上緑化を含む)、公園、街路樹 や、河川、水路、湖沼などの面積がその地域全体の面積に占める割合。 第2 施策の方向 ここでは、「水と緑がネットワークされた風格都市・東京」を実現していくために、今後15年間に取 組むべき施策の方向や考え方などを示します。施策の方向を考えるに当たっては、直面する課題に的確 に対応できるように、次の3つの点からアプローチを図り、従来の枠を越えた施策の展開を図ります。 @広域から見る 東京都の行政区域を越えた緑のつながりは、水源の涵養や生物の生息・生育環境の観点から非常 に重要であることから、東京都とその周辺地域とのつながりを踏まえて施策を展開していきます。 A都市づくりとの連携を考える 緑づくりを、東京で展開されるさまざまな都市づくりの仕組みの中に取り込んでいくことによっ て、効果的な緑空間の創出を図っていきます。 Bストックを活かす 公園などの緑のストックを、商店街や特徴ある歩道、美術館などの施設などと結ぶことによって、 地域全体を一つの大きな公園として楽しむことができます。こうして、緑の果たす役割を、その周 りの地域に広げるさまざまな工夫をすることで、新しい地域の魅力を創りだします。
1 緑が守る「都市環境」
緑のもつ環境を改善する機能を最大限に活かしてヒートアイランド現象などの都市環境問題を緩和する ため、都民などと連携して、緑を保全・回復していきます。 (1) 市街地の緑を回復します (2) 今ある緑を保全します (3) 農林業の振興によって農地・森林を守ります |
[主な推進施策]
名称 |
内容 |
15年間の目標 |
(1)屋上等の緑化指導の推進 |
自然保護条例に基づき、民間施設については敷地面積1,000u以上、公共施設については250u以上の新築等の建築物を対象に、屋上を含めた緑化の指導を行っていきます。 | 屋上緑化面積 1,200ha (敷地面積 1,000u以上の建築物) |
(2)自然保護条例に基づく里山の保全 |
丘陵地において、雑木林、田畑、湧水などが一体となって良好な生物の生息環境を形成しており、特に保全・回復することが必要な地域を、里山保全地域として保全していきます。 | 里山の保全 10か所 |
(3)木材利用の拡大 |
関係市町村や木材生産者などと連携して、多摩産材のストック及び展示・販売を行う施設の整備などの支援を行っていきます。 | 木材生産量
50,000 立方メートル/年 |
2 緑が支える「防災都市」
避難場所となる公園や、避難路・防火帯となる街路樹のある道路などを適切に配置し、緑のネットワー クの形成を図ることにより、東京を安全な都市としていきます。また、緑の雨水貯留機能を活かして、都 市型水害などの災害を防止していきます。 (1) 緑の防災ネットワークを創ります (2) 緑の雨水貯留機能を活かし、「緑のダム」とします |
[主な推進施策]
名称 |
内容 |
15年間の目標 |
(1)救援・復興活動の拠点のため の公園整備 |
環状7号線周辺などの都立公園を対象として、救援・復興活動の拠点となるような役割が果たせるよう、公園の拡張を行うとともに、ヘリコプターの離着陸場として使用可能な広場の確保などの整備を進めていきます。 | 拠点となる都立公園の 拡張整備 29ha |
(2)公園による雨水の流出抑制 |
都立公園内において、築堤を行うことなどにより雨水を一時的に貯留させるとともに、浸透桝や浸透管の設置などにより、地下に雨水を浸透させていきます。 | 雨水流出抑制施設の 整備 15公園 |
3 緑が創る「東京の魅力」
緑によって、うるおい、やすらぎ、風格を東京に創りだし、国際都市としての東京の魅力を高めていき ます。 (1) 東京に風格を与える緑を創ります (2) 緑を活かして、うるおいとやすらぎのある東京を創ります (3) 豊かな自然とふれあう場を創ります |
[主な推進施策]
名称 |
内容 |
15年間の目標 |
(1)文化財庭園の再生 |
文化財庭園の修復や復元の方針、利用・活用策などを、専門家からなる委員会に諮りながら検討を進め、整備を行っていくなど、東京のシンボルとなる庭園の魅力を高めていきます。 | 浜離宮恩賜庭園・ 小石川後楽園改修 |
(2)中央防波堤内側埋立地での 大規模緑地の整備 うるおいのある公園と水辺 の整備 |
中央防波堤内側に、緑の拠点となる大規模海浜公園の整備を進め、次世代に引き継ぐことのできる公園づくりを目指します。 河川沿いの都立公園においては、緩傾斜型護岸などの河川整備と連携して、水辺に親しむことのできる公園を整備していきます。 | 平成14年度から調査 開始 河川との一体整備 17公園など |
4 緑が育む「生物の生存基盤」
山地や島しょなどの生物の豊かな自然を守るとともに、市街地においてチョウやトンボなどの身近な生 物の生息地を回復していきます。 (1) 生物の豊かな自然を守ります (2) 身近な生物の生息地を回復します |
[主な推進施策]
名称 |
内容 |
15年間の目標 |
(1)野生動植物の種・保護区の指定 |
保護すべき野生動植物の生息地・生育地の把握や、個体数、生息・生育状況などについて調査を行い、「種の指定」と「保護区の指定」を行っていきます。 | 保護区の指定 3か所 |
(2)「身近な生き物の生息空間」づ くりの推進 |
「身近な生き物の生息空間」づくりを、管理に関するマニュアルによる情報提供や、学校・企業・NPOや関係機関などからなる推進会議の設置などにより進めていきます。 | 「身近な生き物の生息 空間」づくり 2,000か所 |
5 「都民が主役」で築く緑
東京の緑づくりに都民が参加していく上で必要な活動基盤を整備するとともに、情報を提供し、活動を 支援していきます。また、自然体験を通じて、次の世代を担う子どもたちの自然に親しむ心を養います。 (1) 緑づくりへの都民の活動基盤を整備します (2) 緑で、子どもの心を育みます |
[主な推進施策]
名称 |
内容 |
15年間の目標 |
(1)緑のボランティアセンターに よる都民活動の支援 |
ボランティア活動希望者の登録、緑地保全地域などの活動の場の紹介、普及啓発や技術指導などの指導者の育成と紹介などを行っていきます。 | ボランティア活動の 登録者 10,000人 |
(2)学童農園の推進 |
区市町村の教育委員会などと連携してモデル校を選定し、取組の成果や課題を公表することにより、学童農園の普及を推進するとともに、農園の整備に対して支援を行っていきます。 | 農園整備支援 15か所 |
第4章 ゾーン別施策の展開 ここでは、第3章で述べた施策の方向について、東京を大きく5つのゾーンに区分し、主な施策の方向に ついて示します。 第1 都心ゾーン 屋上緑化や公開空地の確保などにより、新たに緑を創出していきます。 第2 臨海部ゾーン 水辺の立地特性を活かし、自然と共生する、魅力ある臨海部を形成するため、緑の創出を図っていき ます。 第3 都心周辺市街地ゾーン 残された緑を活かし、施設の跡地などを利用しながら、道路、河川、公園などの整備によって、災害 に強い街づくりを進めるとともに、学校など公共施設の緑化や民間による緑化によって緑の再生を図っ ていきます。 第4 多摩・丘陵ゾーン 調和のとれた市街化とともに、農地、樹林地などの豊かな緑を保全・活用して緑の安定的な確保を図 っていきます。 第5 山地・島しょゾーン 農地や森林、野生動植物など豊かな自然資源を活かし、観光との調和を図りながら、農林業の活性化 などにより緑の保全・活用を図っていきます。 第5章 計画の推進 施策の方向で示した内容には、関連部局が連携して取組むもの、区市町村や近隣自治体と連携して取 組んでいく必要のあるもの、都民、企業、NPOなどが自主的に取組んでいく必要があるものなど、さ まざまなものがあります。このため、次のような取組を通じて、「緑の東京計画」を推進していきます。 第1 「緑の東京計画推進委員会(仮称)」の設置 関連部局から構成される「緑の東京計画推進委員会(仮称)」を設けます。ここでは、施策の効果的 な推進方法を検討するなど、関係局が協力して円滑な施策の推進を図っていきます。 第2 区市町村との密接な連携 都が広域的観点から行う緑づくりと、区市町村が行う身近な緑づくりとがあいまって「緑の東京計画」 を実現するため、区市町村との協議の場を設けて、例えば、屋上等の緑化の促進など施策への協力を求 めていきます。 第3 近隣自治体との連携の強化 丘陵や崖線、河川などを軸にした緑の骨格の形成や、市街地の緑化によるヒートアイランド現象の緩 和などについては、近隣自治体と連携していくことが必要であるため、七都県市首脳会議の緑化政策専 門部会など既存の組織を活用し、近隣自治体の連携を充実、強化し、施策の推進を図っていきます。 第4 都民との協働 都民、企業、NPOなどの自主的な取組が必要な施策については、課題別に、これら関係主体との会 議を設置し、このなかで都は必要な技術的援助、関係機関との連絡調整、具体策の提案などを行い、円 滑な推進を図っていきます。 第5 都民の自主的な取組への協力・支援 都民、企業、NPOなどの活動を支援する「緑づくりの活動基盤」を区市町村と連携しながら整えて いき、緑地トラストやボランティアセンターなどの仕組みにつなげていきます。 資料 資料1「緑の東京計画」中間のまとめに寄せられた意見 資料2「みどり率」の考え方
[緑の東京計画へ]